魚のヒミツ−魚と毒−ウミヘビ
ウミヘビ 猛毒ヘビ、コブラをも凌ぐ毒!
どうしてこんな海の中にまでヘビが居るんだと時々思うことがあります。キャーキャー騒ぐほど苦手ではないが、やはり見かけるとゾクッとします。ウミヘビと名の付く生き物は、魚類でアナゴやウツボの仲間に近いもので、その姿形からそう呼ばれるもの(ホタテウミヘビ,ダイナンウミヘビ等)と、マムシやハブと同じ爬虫類の仲間のウミヘビ(エラブウミヘビ,クロガシラウミヘビ,マダラウミヘビ,セグロウミヘビ等々)がいます。ここでは、後者の爬虫類のウミヘビについて記述します。
ウミヘビの毒
ウミヘビの毒は神経毒で、あの猛毒を持ったコブラの毒よりも強力で、毒性は数十倍とも言われています。その毒は、ウミヘビに噛まれることにより、その毒牙から注入されます。ウミヘビの毒牙は小さく数ミリ程度で、ハブやマムシが口を開けた時のように、毒々しい牙がニョッキリと表に出ることはありません。
被害 噛まれると
海を泳いでいるウミヘビが、いきなり人間を襲ってくることはまずありません。多くの場合、ウミヘビの機嫌を損ねるような事をした場合や、漁の網に掛かったウミヘビを外そうと誤って噛まれたり、潮溜まりに取り残されたり浅瀬にいるウミヘビを、知らずに踏みつけたり、いたずらに手を出して噛まれたりと、ほとんどの場合不注意からです。
ウミヘビに噛まれた時の痛みはチクリとする程度であまり感じないようです。被害者の体格や毒の量にもよりますが、噛まれてから数十分〜数時間後に症状が出始めます。症状は、全身の倦怠感,筋肉痛,運動障害,呼吸困難,麻痺、そして最悪の場合は死に至ることもあります。
応急処置 もしもの時の対処法
噛まれた部分より心臓に近い部分をきつく縛り、毒を搾り出して下さい。そして、一刻も早く病院へ急行し、適切な処置を施して下さい。手当ての遅れが命取りになります。症状が出てからでは遅すぎる!
ウミヘビを食べる
沖縄では昔から食材としてウミヘビが扱われてきました。元々は宮廷料理として扱われていましたが、今では手軽に食べられます。沖縄の公設市場を歩いていると、真っ黒でカチカチに乾燥した棒状あるいは渦巻状のイラブー(エラブウミヘビ)が並べられているのを目にします(写真)。初めはビックリしましたが最近は慣れました。このイラブーには、滋養強壮効果があるとして薬膳料理に利用され、イラブー汁は人気?があります。ただし、初めてそれを目の前にすると、小さなウロコのついた真っ黒な短い筒状のものが、スープの中に浮いているのを見ると・・・・。沖縄にお出かけの際には一度お試し下さい。
ウミヘビにはビタミン類や必須アミノ酸などの栄養素が豊富に含まれており、健康食品や薬品への利用が今後ますます期待されそうです。