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魚のヒミツ−魚と毒−アンボイナガイ

アンボイナガイ 海の宝石、実は死神か?

アンボイナガイを含むイモガイは世界に数百種存在しており、そのいずれも毒の強さに差があるものの危険な貝である事にはかわりありません。これらの貝(この貝に限った事ではないが)は、投機の対象となり珍しい物ともなればコレクターの間では驚くほどの高値で取引が行われ、このアンボイナガイも例外ではありません。また、お土産屋さんで売っている貝殻の中にも、見かける事が良くあります。大きさは10cm位で円錐型の赤味のある幾何学模様が入った美しい貝です。こんな美しい貝で在るが為、ついつい手を伸ばしたくなってしまいます。

タガヤサンミナシガイ

写真はアンボイナガイと同じイモガイ類のタガヤサンミナシガイ

アンボイナガイの毒

この貝の毒はコノトキシン(Conotoxin)と呼ばれる神経毒の一種で、痛覚の神経伝達物質チャネル(詳しいことは良くわからないが)を阻害します。要するに細胞間の信号のやり取りをする部分が塞がれ、細胞組織の動きが取れなくなります。

被害 刺されると

日本では伊豆半島以南で見られ、その生息水域は、浅いリーフ内から水深40m程の所までと広範囲に渡ります。このアンボイナガイの武器は、獲物の小魚を捕るために歯舌歯(しぜつし)と呼ばれる先端の鋭い毒ヤリで、ウエットスーツも貫通するほどの威力があるそうです。

被害の多くは、食用の貝と間違って拾ったり、綺麗な貝があると言って思わず手を伸ばした際に刺されるケースです。また、拾った貝をポケットや袋に入れていて、その袋越しに刺される場合もあるようです。

厄介な事に、コイツに刺されてもチクリとする程度で、最初は痛みをあまり感じないようです。刺されてから数十分もると、その部分が次第に紫色に変色し、痺れ,目眩,運動神経の麻痺等の症状が現れ、ついには呼吸困難、重篤の場合は死に至ることがあります。驚く事に、この貝に刺された場合の致死率は非常に高く6〜7割とも言われます。

応急処置 もしもの時の対処法

いち早く刺された部分から毒を吸い出すこと、そして受傷部より心臓に近い部分を縛り毒の回りを抑えること。そして、直ちに病院へ急行し処置を受けることが必要です。

毒の有用性

アンボイナガイを含むイモガイの毒の成分であるコノトキシンが新薬開発に役立っているそうです。コノトキシンには痛覚をブロックする鎮痛効果があり、モルヒネなどの鎮痛剤が効きにくい、進行癌などの激痛に対応するといわれています。


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[日本の海水魚]
持ち運びやすいコンパクトサイズの図鑑ですが、日本近海の海水魚1246種を掲載。海に出かける時はいつも携帯しています。