魚のヒミツ−魚と毒−最後に一言
最後に一言 万が一に備えて
私がはじめて海を見たのは、確か小学生の低学年の頃、家族で訪れた新潟の直江津海岸でした。長野県の山の中に育ち、今まで海を見たことの無かった少年にとって、どこまでも続く水平線とそこに広がる砂浜は、小さいながらも大きな衝撃であった事を覚えています。
初めは恐々と水に触れていましたが、次第に行動が大胆になってきました。そして、その時が来ました。私は波にさらわれて、アッと言う間に深みに引きずり込まれた(私はそう思った)のです。パニック状態で上も下もわからなくなりもがいていた事だけは覚えています。気が付くといつの間にか浅瀬に立って泣き叫んでいました。周りを見るとみんなが笑っているではないですか。ちょっと波に足をすくわれ、その場に転んだだけのようでしたが、本人にはそれが理解できませんでした。その時初めて思いました、「大人は薄情だ!」「海は怖い!」と。
その翌年、今度は初めて太平洋を見ました。千葉県の木更津海岸へ潮干狩りに訪れました。潮が引き、今までそこが海で在ったことがにわかには信じられませんでした。そこは私にとって未知の生き物がたくさんいるワンダーランドでした。潮干狩りに来たにも関わらず、子供の私にとって動かないアサリは興味の対象外でした。それよりも、ちょこちょこと動き回る小さなヤドカリやカニ、可愛らしいハゼ、気味の悪いゴカイやクラゲ等が珍しくて興味が尽きませんでした。見るもの全てが珍しく、持ってきていた水槽は、あっという間に小さな水族館に早変わりでした。あの時の興奮は今でも忘れません。
海は神秘に満ち溢れ、人間の飽くなき探究心を駆り立てます。そして、知れば知るほど不思議が次から次へと顔を出してきます。そんな海だからこそ、たくさんの危険も潜んでいるのでしょう。事故に遭わないためには、「君子、危うきに近寄らず」近付かない事です。しかし、それでは身も蓋も有りません。ここに取り上げた危険生物は、ほんの一例に過ぎません。少しずつでも知ることで、目の前にある危険を少しでも回避出来る事が可能です。また、万が一に備えて、緊急時の応急手当、緊急救急救命などの講習も積極的に受けておく事も大切だと思います。各都道府県ではそのような講習会を定期的に開催していると思います。是非とも一度講習会に参加することをお勧めします。
これを機会に少しでも海との付き合い方を考えて頂ける切っ掛けとなり、海と楽しく付き合っていけることが出来れば幸いと思っています。
早速、海へ飛び出してみませんか! まずは身近な干潟や海岸へ出かけてみましょう。
〔磯遊び・干潟遊び〕
ここに挙げた様々な海洋生物に対する被害、その応急処置法についてはあくまでも一般的に言われている事であり、これが全てではありません。被害に遭った際は、素人判断で処置をすると取り返しの付かない事になる場合があります。万が一の時は、必ず専門の知識、設備を有する病院等の判断を仰ぎ適切な治療を行って下さい。